横浜市営地下鉄弘明寺駅から弘明寺商店街を通って弘明寺へ!【神奈川県横浜市南区】

●アーケードの長さが東洋一とたたえられた商店街

横浜市営地下鉄弘明寺駅から地上に出ると「鎌倉街道」。

街道沿いに「横浜国大附属横浜中学校」があり、その校門の並びに「横浜国立大学工学部 旧横浜高等工業学校発祥の地」の碑が立っています。

門前町の風情漂う弘明寺商店街(通称:弘明寺かんのん通り)
門前町の風情漂う弘明寺商店街(通称:弘明寺かんのん通り)

街道をはさんで反対側。昭和30年代に全長270メートルのアーケードが架けられ、東洋一といわれた「弘明寺商店街」が伸びています。

第二次世界大戦で戦災に遭わなかったことから人々が流入し、発展した商店街。現在は全長312メートルのアーケードに100以上のお店が建ち並んでいます。

●弘明寺土産におすすめの桜ビール

最初に目に入ったのは、酒店の店頭にあった「弘明寺 桜ビール」。商店街の中央付近を横切る大岡川は桜の名所として知られ、その桜から抽出した酵母で造った酒店オリジナルビールです。

深い味わいの「弘明寺 桜ビール」。こちらのお店は日本酒の品揃えも豊富
深い味わいの「弘明寺 桜ビール」。こちらのお店は日本酒の品揃えも豊富

「はじめは春だけの販売だったんですが、おかげさまで評判がよくて1年中置いています。弘明寺土産として買っていかれるお客さんもいます」と酒店の方。

 

「この商店街は週末になると弘明寺参りの人も訪れて人出が多く、とくに桜の季節やイベントが行われる日は自由に身動きがとれなくなるほどですよ」。

●あちこち立ち止まりたくなる懐かしい商店街

目を左右にきょろきょろ動かしながら歩いていくと、横浜らしいハイカラな帽子店、昔ながらの和装小物店、横浜名物のサンマーメンが食べられる中華料理店などを見つけられ、どこか懐かしい雰囲気。

横浜名物サンマーメンとは、もやしを主体とした野菜のあんかけがのったラーメン
横浜名物サンマーメンとは、もやしを主体とした野菜のあんかけがのったラーメン

きりあめの露店、量り売りの漬物店、草餅や切り山椒を並べる和菓子店、きのこや天ぷら蕎麦がおいしそうな蕎麦店など、いかにも門前町らしいお店もあちこちに。

コッペパンにマーガリン+あんやジャムなど好みのものをぬってもらえるパン店、成長とともにヒレが美しくなるというメダカを売るペットショップにも、ついつい足が止まってしまいます。

青果店にて。筒にネットをセットしてみかんを詰めて抜き取れば、ネット入りみかんのできあがり
青果店にて。筒にネットをセットしてみかんを詰めて抜き取れば、ネット入りみかんのできあがり

大岡川に架かる「観音橋」の上をアーケードも同じように渡っているのも、おもしろい。すぐ隣の「さくら橋」からは川沿いの桜並木が眺められて、春はきれいだろうなあ。

「観音橋」の上にもアーケードが続く。すぐ隣に「さくら橋」が並んで架かる
「観音橋」の上にもアーケードが続く。すぐ隣に「さくら橋」が並んで架かる

●弘明寺の仁王門を通り抜けて階段をのぼる

帰りに何をお土産に買おうかあれこれ考えているうちに、アーケードが終了。目の前に「弘明寺」の「仁王門」が現れました。

江戸時代に再建された「仁王門」は、横浜市指定有形文化財。13世紀後半に造られた「金剛力士像」の迫力ある睨みにどぎまぎしつつ、通り抜けます。

 

 

階段をのぼってすぐ左手に「身代地蔵尊」。からだにどこか悪いところがあれば、同じ場所をタオルでさすって祈願すると癒してくれるお地蔵さまで、人々が順番を待っています。

一番上までのぼると正面に本堂、右手に「七つ石」。この七つ石とは、養老5年(721)にインドの善無畏三蔵法師が日本を巡り歩いた際、この地に霊域を感じて結界を定めた霊石なのだそう。

 

その後、天平9年(737)に東大寺大仏の建立でも知られる僧・行基がこの霊域に草庵を作り、十一面観世音菩薩立像を彫ったことが「弘明寺」の始まりと伝えられています。

●国宝と国重要文化財に指定されている観音さま

寛徳元年(1044)に建立、明和3年(1766)に再建された本堂には、十一面観世音菩薩立像がご本尊として祀られており、国宝と国重要文化財に指定。ぜひ拝観したいと、本堂の奥へ。

 

像高約180センチメートル。一本の木材から彫りだした一木造りで、すぐそばで見上げると像の表面に丸ノミの彫り跡を残す特殊な彫り方が施されているのがよくわかります。 

肉眼では確認できませんが、顔に眼、眉、髭が描かれていることがわかる赤外線写真が展示されており、約1300年の時を越えて大切にされてきた観音さまの存在に圧倒されます。

 

お寺の方から、「十一面観音はその名のとおり頭部に十一面の顔を持ち、あらゆる方向に顔を向けることで、すべての人々を救済することを表しているんですよ」「かつて弘明寺の本堂は裏山に建っていて、当時の古材が現在の本堂の床板として再使用されているんですよ」というお話を伺い、もとは弘明寺の境内であった「弘明寺公園」にも行ってみることにします。

●京急本線弘明寺駅を超えて弘明寺公園へ

 

應永18年(1411)建立の「楓関門」から出て、道なりに歩くと京急本線の弘明寺駅。踏切を渡り、左手に進むと駅構内への階段があり、そこを経由しつつ公園へ続く階段をのぼります。

よいしょと頂上にやっと到着。ふり返ると、「横浜ランドマークタワー」がそびえ建つみなとみらい周辺の壮大な眺めが広がりました。

弘明寺公園からランドマークタワーを望む。展望台にのぼればさらに壮大な眺めが
弘明寺公園からランドマークタワーを望む。展望台にのぼればさらに壮大な眺めが

「弘明寺公園」は春に約200本の桜が開花。「展望休憩所」には「展望台」があり、ちょうど改修工事中でこの日はあがれませんでしたが、きっと抜群の眺めなのでしょう。

園内には自然の地形をそのままいかした遊歩道が整備され、緑のあいだからは東西南北の見晴らし。弘明寺の観音さまもここから四方八方の人々に救済の眼を向けていたのだろうなあと考えます。

弘明寺公園の緑に包まれた遊歩道。桜だけでなく紅葉の季節も美しい
弘明寺公園の緑に包まれた遊歩道。桜だけでなく紅葉の季節も美しい

●散策途中で眺めのよいところを発見

階段をおりて山裾の住宅街をしばし散策すると、「割烹旅館 中里温泉」の看板。ひとっ風呂あびられちゃう!? と胸が躍りましたが、以前は日帰り入浴を楽しめたものの、今は受け付けていないとのこと。

明治21年(1888)創業の天然温泉「中里温泉」
明治21年(1888)創業の天然温泉「中里温泉」
弘明寺の町で出会った猫。おだやかな観音さまの足もとで、ちょっと勇ましい感じ
弘明寺の町で出会った猫。おだやかな観音さまの足もとで、ちょっと勇ましい感じ

階段をのぼった途中には「熊野神社」。

 

のぼりきった先の場所からは、隣駅の上大岡駅前ビル群の眺め。住人の方に「弘明寺公園からは富士山も見えるんだよ」と教えてもらい、本当に眺望のよいところだなあ!

春には満開の桜の向こうに京急本線の赤い電車が行き交う景色を眺められる
春には満開の桜の向こうに京急本線の赤い電車が行き交う景色を眺められる

●弘明寺商店街でお土産をいろいろと

さあ、再び公園のなかを歩いて戻り、京急本線弘明寺駅を越えて弘明寺商店街へ。

草餅、大根と山ごぼうのみそ漬け、ピーナッツクリームをぬってもらったコッペパン、できたてのあつあつ豆腐、そして、弘明寺ビールをお土産に購入。横浜市営地下鉄弘明寺駅から帰りの電車に乗ったのでした。

<インフォメーション>

弘明寺/817時、観音さまの拝観料500

※記事の内容は、2016年10月24日に散歩したときのものです。各情報は変更になる場合がありますので、必要に応じてご確認ください